この記事を読むとわかること
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NISAが優先
投資を検討する際には、まずNISAの利用を前提に考えることが望ましいです。たとえNISAでは投資できない投資対象があったとしても、まずはNISAの利用を優先すべきと言える程、非課税のメリットは非常に大きいのです。
通常の証券投資(株式や投資信託に対する投資)では、得られた利益に約20%の税金がかかりますが、NISAではこれが非課税となります。この20%の税金の有無は小さな差に感じるかもしれませんが、決してそうではありません。
言い方を変えれば、NISAを利用せずにNISAと同じ成績を出すのは非常に困難ということです。例えば、NISAで100万円のリターンが得られる場合、課税口座では約125万円のリターン(約20%の課税後の利益は約100万円となる)を上げる必要があります。つまり、課税口座ではNISAよりも25%高い成果を出す必要があるのです。重要なのは、同じリスクを負った状態でこの成果を出さなければならないということです。
リスクの観点からこの状況を考える際、ガスコンロの火の大きさに例えると理解に役立ちます。お湯を沸かすためには火が必要です。火を大きくすれば早く沸かすことができますが、それは同時に火傷のリスクも高まります。課税口座でNISAよりも25%高い成果を出す必要があるということは、火の大きさ(リスク)を変えずに25%早くお湯を沸かす必要があるということです。
継続的に10%以上の投資効率を上げることができるならば、優れたファンドマネージャーとされますが、NISAの非課税メリットはこれを遥かに上回ります。NISAでは、確実に、無期限に、課税口座よりも25%効率が高い状態が続きます。
課税口座での投資は、NISAの枠(年間/生涯)を使い切ってから検討すべき
NISAでは投資できない投資商品に興味を持つこともあるかもしれません。しかし、まずはNISA内で類似した投資ができないかを検討してみることが大切です。
世界中の資産は、表面上は関係がないように見えても、実は互いに密接に連動しています。投資家は、株式、債券、金、為替、不動産、暗号資産など、様々な資産を比較しながら投資を行います。このプロセスでは、リスクとリターンを総合的に評価して意思決定を行っています。
そのため、特定の資産が他の資産に比べて(抱えることになるリスクに対して)特別に高いリターンを提供することは稀です。プロの投資家でさえ、そういった状況の判断は難しいため、無理にそこに注力する必要はありません。
結論として、特定の資産がNISAで買えないとしても悲観的になる必要はありません。税引き後の観点で、NISAで購入可能な投資対象の方が、実質的な投資効率はより高いことが多いです。NISA以外の投資では、単にリスクが大きくなるだけ(上のガスコンロの例で言えば火力が大きくなるだけ)の場合が多く、リスクとリターンのバランスが悪化することは否めません。
日本国内の居住者にとって、証券投資において得られるリターンに対して課せられる約20%の課税率は、総合所得にかかる累進課税率や、その他の投資対象にかかる証券税率等と比較すると、低いと言えます。NISAでは購入できない投資対象には、この20%よりも高い税率が適用される場合があります。すでにこの20%の税率の差でさえも覆すのが困難な状況において、さらに高い税率が適用される場合、その投資の(NISAの効率を上回る)難易度は一層高まります。
このことを念頭に置いて、NISAで購入できる投資対象と、そうでないもののリスクとリターンを比較することが重要です。20%の税率差を克服することが難しい場合、より高い税率が適用される投資対象は、さらに大きなリターンを必要とします。NISAを利用することのメリットは、このような状況を考慮すると一層明らかになるでしょう。
- 運用益に対して約20%の税率が課される課税口座が、非課税のNISA口座と同じ成果を出すためには、どの程度投資効率を引き上げる必要があるでしょうか。
- 正解は・・・
C約25%
約20%の税引き後のリターンが非課税と同等になる必要があるため、効率改善をXとすると、(1+X) x (1-20%) = 1 ⇒ X = 25% となります。