この記事を読むとわかること
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Q:同じ投資商品をつみたて投資枠または成長投資枠で保有できる場合、どちらを利用すべきか
現在、ある投資商品の購入を検討しているとしましょう。その商品がつみたて投資枠でも成長投資枠でも購入可能な場合、どちらの枠を利用して購入するのが合理的でしょうか。
A:つみたて投資枠を先に利用しよう
同じ投資商品をつみたて投資枠と成長投資枠のどちらでも購入できる場合、まずはつみたて投資枠を優先して利用することをお勧めします。どちらの枠を利用しても税メリットに大きな違いはありませんが、投資実行後の自由度には差が出ます。
つみたて投資枠で購入できる商品は、必ず成長投資枠でも購入可能ですが、逆は必ずしも当てはまりません。つまり、成長投資枠で購入できる商品が、つみたて投資枠で購入できるとは限らないのです。
さらに、新しいNISAで設けられた非課税保有限度額(生涯投資可能な額)にも留意する必要があります。つみたて投資枠と成長投資枠は併用可能で、上限が両者合算で1,800万円と定められていますが、成長投資枠はその内1,200万円までしか利用できません。したがって、この非課税保有限度額の上限までNISA口座をフル活用するには、つみたて投資枠を600万円以上利用することが必要です。一方で、年間投資枠に関しては、成長投資枠では年間最大240万円まで投資できますが、つみたて投資枠では年間最大120万円の制限があります。
制約の面で見ると、つみたて投資枠の方が投資対象や年間投資枠の制限が厳しい一方で、生涯投資枠の面では、つみたて投資枠でしか利用できない部分が3分の1を占めているため、どちらでも利用できる場合はつみたて投資枠を優先するべきです。この方法を取ることで、制約が緩やかな成長投資枠の利用可能枠の残高をより多くすることが可能となり、将来別の投資商品を購入したい場合や、他の記事で紹介されているような制度利用の最適化取引を行う際の自由度が確保されます。
売却時もつみたて投資枠に残高が残るように
購入時につみたて投資枠を優先するのは理解しやすいですが、売却時にもつみたて投資枠に残高を残しておくことが重要です。
NISA口座の一部を現金化したい場合、同じ商品をつみたて投資枠と成長投資枠で保有しているときは、成長投資枠からの出金を優先し、つみたて投資枠の残高をできるだけ維持するようにしましょう。これにより、将来にわたって投資の自由度を高めることができます。
ただし、つみたて投資枠や成長投資枠への振り分けは、行動最適化の一環であって、目的そのものではありません。投資をする際には、まず自分がどの程度のリスクを取りたいのか、または避けたいのかを考慮することが最も重要です。その上で、NISA枠の利用優先順位を決めて行動することが望ましいです。
- NISA制度の非課税保有限度額上限まで利用したい場合、つみたて投資枠は最低いくらの利用が求められるでしょう?
- 正解は・・・
A600万円
NISA口座全体の非課税保有限度額は1,800万円です。それに対して成長投資枠の非課税保有限度額は1,200万円なため、少なくとも600万円はつみたて投資枠を利用しないとNISA口座全体を満額利用できません。