この記事を読むとわかること
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Q:投資信託と個別銘柄はどちらが良いか
つみたて投資枠では、投資信託のみが投資対象となりますが、成長投資枠では、投資信託に加えて株式の個別銘柄への投資も可能です。成長投資枠を利用する際に、株式の個別銘柄をポートフォリオに組み入れるべきかどうかを考えてみます。
A:高いリスクを望む場合を除き、投資信託のみで構わない
成長投資枠を利用する場合、投資信託に加えて株式の個別銘柄への投資も可能です。株式個別銘柄には、日本株だけでなく、海外の株式も含まれます。しかし、NISA制度の利用を考慮すると、特に強い見通しを持っていない限り、個別銘柄に投資する必要性は低いかもしれません。
そもそも投資信託と株式個別銘柄は、本質的に相反するものではありません。投資信託は実質的に個別銘柄の集合体といえます。例えば、日経225ファンドに投資することは、東証に上場する225銘柄に分散投資することと同じです。
投資信託と株式個別銘柄の大きく異なる点は、リスクの大きさにあります。株式個別銘柄のリスクは一般的に投資信託よりも高く、市場平均を大きく上回るリスクを持つ銘柄もあります。NISA制度で許可されていないレバレッジファンドのリスクレベルを超えることも珍しくありません。
よほど確度の高い見通しを持って個別銘柄に投資できるならば、高いリスクを持つ分だけ得られる果実は大きくなるでしょう。しかしあいまいな見通しや、根拠のない判断で個別銘柄に投資することは、避けるべきです。
見通しを持たずに投資できるインデックス投資のような投資手法とは異なり、個別銘柄に投資する際は、はっきりとした見通しを持つことが必要不可欠です。そうでなければ取り戻すのに多大な時間を要するような、大きな痛手を被る可能性があります。プロの投資家でさえ銘柄選定を誤ることがあり、常にリスク分散を心がけています。
どのような投資も、将来の結果は不確実であるということを忘れてはなりません。
確度高く銘柄を当てられたとしても、長期的には投資信託の方が有利
個別銘柄への投資を検討する際、ある程度の「波乗り投資(『機動的に売り買いしたい』の記事をご参照ください)」を想定することが必要です。5年や10年先を見据えて旬な企業を見つけることは可能に思えるかもしれませんが(実際には多くの場合、そのような見通しは既に株価に反映されているため、それも難しいものです)、10年や20年先を見据えて成功を続ける企業を見つけることは非常に難しいです。中には、20年前からAmazonやAppleの株を保有し続けた人々の話を見聞きすることはあるかもしれませんが、それらの銘柄の株価が長期にわたって上昇し続けた理由は、皮肉にも多くの人が20年前にそのような将来を予見することができなかったからこそと言えます。
過去に長期間にわたって上昇してきた株が、これからも同様に上昇し続けるという確証はありません。時代とともに新しい技術や産業は発展し、容易に予見できないからこそ値動きが大きくなるのです。しかし多くの人にとっては、個別銘柄投資は短期売買重視で「時勢が変われば新しい旬な企業や産業に投資すれば良い」という程度のことかもしれません。このような場合、NISA制度とは相性が良くありません。
NISA制度利用の最大の目標は、含み益を継続的に増やすことです。そのため、初めから途中で売却することを想定する投資スタイルは、制度の利用において不利と言えます。
個別銘柄への投資に興味がある場合、集中投資を採用する投資信託を探すのが良いかもしれません。投資信託内での頻繁な銘柄の入れ替えはNISA利用に影響を与えません。また、集中投資を行うファンドは、一般的に銘柄の平均保有期間が短いため、ある意味で「波乗り投資」を意図しています。
集中投資をする投資信託に投資し、その投資コンセプトと実施内容を数年評価した後、その情報を基に個人で個別銘柄投資を検討するのも一つの方法です。
- 株式個別銘柄と投資信託に関する説明として、誤っているものは次のうちどれでしょう?
- 正解は・・・
A一般的に、株式個別銘柄に対する投資は、投資信託への投資よりもリスクが低い。
株式個別銘柄への投資は一般に投資信託への投資よりもリスクが高く、中にはNISAで投資が認められないレバレッジファンドを超えるリスクを持つ銘柄もあります。