この記事を読むとわかること
目次
Q:相場や銘柄に対する見通しが変わったら、どうすれば良いか
特定の見通しに基づいて、複数の銘柄を組み合わせた投資ポートフォリオを構築したとします。新しいニュースや経済事象によって、当初の見通しが変わることは一般的です。このような状況で、見通しに変化があった場合にどのように対応するべきでしょうか。
A:考え方が大きく変わるような場合は即時反映すべき
『リバランスはいつする?』の記事では、基本的にNISA口座では、数年に1度の相場変動がない限り、リバランスは不要と紹介しました。しかし、リバランス時には相場や保有銘柄に対する見通しに変化がないことを前提としています。もし相場や銘柄に対する見通しに変化があった場合、その際はリバランスではなく、リアロケーション、つまり投資配分の変更や目標ポートフォリオの見直しを考える必要があります。
リアロケーションの判断は、リバランスほど単純ではありません。リバランス時には、見通しに変化がないため、ポートフォリオはある程度は目的に近い形を維持していると想定されます。しかし、リアロケーションでは、目的地そのものが変わるため、場合によっては大きな投資資金の配分変更が即時必要になることがあります。
見通しの変化が小さい場合は、リバランス時と同様、すぐにポートフォリオを変更する必要は低く、積立投資を含む追加の投資でポートフォリオを目標に近づけることが望ましいです。
一方、見通しの変化が大きい場合は、保有資産を速やかに売却し、新しい構成に変更する必要が出てきます。例えば、株式市場に対して強気の見通しを持っていた投資家が、考えを改めて市場の大幅な下落を予測するようになった場合は、速やかに株式を売却すべきです。
含み益が将来どうなるかを基準に考えよう
リアロケーションを検討する際の基準の一つは、現在のポートフォリオと変更後のポートフォリオを比較し、どちらが将来の含み益を大きくできそうかを判断することです。
現在保有しているポートフォリオが含み損の状態であれば、新しいポートフォリオに切り替えることが得策となります。いったん含み損を実現損として認識し、新しい見通しに合致した変更後のポートフォリオで含み益を増やしていくことを目指します。
判断が難しいのは、現在のポートフォリオが含み益を持っている場合です。リアロケーションにより、現在の含み益を実現益として認識することになるため、NISA制度では、これは制度メリットを失う行動になる可能性があります。『制度を使い倒そう』の記事でご紹介したように、含み益の大きさは、NISA制度活用のレベル(巧拙の度合い)を示す重要な指標と言えます。現在の含み益を解消してまでポートフォリオを変更すべきかは慎重に判断する必要があります。
例えば、株式市場に対して強気の見通しを持っていた投資家が、市場の下落を予測するようになった場合、現在のポートフォリオを維持することで将来の含み益がどれほど減少するかを検討すべきです。含み益が減少し、やがて含み損にまで至ると予測される場合、保有している株式を速やかに売却し、他の資産に移したほうが良いでしょう。しかし、含み益が大きく、株式市場の下落が短期間で小幅にとどまると予想されるのであれば、大きなポートフォリオの変更はせず、一部を売却するか、現状を維持することが適切となります。
見通しを持たない投資はこんなときも楽
リバランスの必要性に関する記事では、インデックス投資に代表されるような「市場に対する特定の見通しを持たない投資スタイルでは、リバランスは不要」と紹介しました。このような投資スタイルは、リアロケーションを検討する意味でも労力がかかりません。
そもそも、インデックス投資は特定の見通しを持たずに行われるため、(新たに見通しを持ち始めない限り)見通しの変更に起因するリアロケーションが不要である状態が続きます。これにより、不必要な投資行動を減らし、将来の投資成果に良い影響を与える可能性が高くなります。
- リアロケーションについて説明している文章のうち、誤っているものはどれでしょう?
- 正解は・・・
Bリアロケーションには、デメリットは存在しない。
一般的にリアロケーションを実施する際には、取引コストがかかること、機会損失が発生すること等がデメリットとして挙げられます。NISA口座においてはこれに加えて、投資枠の追加的な消費も課題となります。